自宅に戻った。

狭いボロアパート。
アパートの階段が軋む。
シリンダー式の古い部屋のカギ。


さすがに、明を部屋に上げる気になれない。

心を整理したくて。
忘れたくて、一人になりたかった。

扉を開ける。
ガランとした室内・・・。
冷たい空気の部屋・・・。

・・・。


今まで、居心地が抜群だった部屋だったはずが・・・。
なんだか、完全にアウェー状態。

自分の部屋なのにさ・・・。

・・・・・。

純也の部屋から、ほとんど自分のものは、持って帰ってきた。でも、荷物が結構少なかったことに、自分でも驚いた。


荷物は、2つのボストンバックに収まった。


部屋に置いてきたのは、潤也が選んでくれたスーツだけ・・・。
どうしても、持って帰れなかった。
潤也を思い出してしまいそうで・・・。


ため息が出る・・・。

なんだか寂しい・・・。

なんだか怖い・・・。


・・・・・・。


テレビをつけた。芸人が出ている番組が、やけに多い。しかも、全然笑えない・・・。


《ハッ・・・・。》


なんだか、ため息ばかりが出る。


《バタン!!!》


玄関の扉に、何か物が当たった音がした。
時計の針は、午前零時を指している。

背中がぞっとした。

《何?????》