・・・。

「・・・・・っでさ。って聞いてる葉子?」

私の目の前で、佐々木明の手が左右に触れている。


《はっ!ヤバイ。》



『ごめん。・・・聞いてなかった。』

今日、これで3回目。さすがに、ヤバイよね・・・。
一瞬怒った様な表情になったが、すぐにいつもの明に戻った。

「まっ、大した話じゃないから。べつにいいよ。」

明は、気にしてないよ。って素振りを見せた。
やっぱり、明は大人の男だね。
潤也と違って、いちいち気にしないし、拗ねない。



明が、私の手を握った。


私も、握り返した。



2人で歩く、歩幅もほぼ一緒。
私に、合わせてくれている・・・。

・・・・・。



一層の事、彼を好きになれたら。

どんなに、いいことだろう。

どんなに、楽なことだろう。

どんなに・・・・・。

でも、そう上手く行かないんだよね。