園内には、露天のお店も多くあった。
お祭りの香りがする・・・。

お好み焼き。焼きそば。たこ焼き。あんず飴。・・・。

懐かしい・・・。

潤也が立ち止まった。

「なに?これ。」

ああ。それ?

『大判焼き。知らない?中に、餡子とか入ってるんだよ。美味しいんだよ。ね!食べよ。』

《おじさん、2個ください。》

私、早速2個購入。
1つを、潤也に手渡した。

潤也はすぐに、頬張った。

「初めて食べた・・・。面白い味だね。」

『こういうの食べた事ないの?』

「うん。」

そうだよね。
・・・。


『私の、小さい頃住んでた田舎では、毎年お祭りがあってね。こういう、お店がたくさん出るんだ。だから、ちょっと懐かしい。』

「そっか。いいなお祭り。行ったことない・・・。」

『じゃあ、今度お祭り連れってあげるわ。』

潤也の顔が明るくなった。

・・・・・。

私にとっては、楽しい思い出・・・。
1年に一回。

たくさんの人でごった返す町。
囃子の笛や太鼓の音。
山車の車輪の軋む音。
提灯のソウソクの炎。

今考えただけでもワクワクしてくる。


でも、潤也の英才教育を受けていた幼少時代とは、雲泥の差だろう。

ちょっと、かわいそうになる。

・・・・。

「ねえ。あれ。乗りたい。」

指した先には、ジェットコースターが見えた・・・。

ちょっと、待って・・・。
カンベンしてよ。

『嫌。カンベンして。』

・・・・。

そんな、カンベン聞くはずも無く。

・・・・。