皆が席を移動し終わって
私は洋子のところへ駆け寄った

「洋子洋子!」
「あ、雪華。席どうだった?」
「結構いいよー。後ろに大軒くんいるし斜め前に夢ちゃんいるし」
「いいなー大軒!」
「あ、そうだ洋子」
「ん?」
「春日くんって知ってる?」

一応、小声で聞いた
本人に聞こえては失礼だろうと思って

「春日ぁ?知ってるよ。あのビン底眼鏡くんでしょ?」
「うん!すごい厚くて目が見えないコーティングしてる眼鏡してる人」
「知ってるよ。一応クラスメイトだし。もしかしてあんた知らなかったの?」

素直にうん、とうなずくと
しっつれいな奴ね!と大軒くんと同じ反応をされた

「でも仕方ないかな。地味だし」
「何部?」
「えーっと、確か帰宅じゃない?」
「へえ」

遠く見で春日君を見てみる
前髪は少し長くて
やっぱり眼鏡で目が見えなくて
色は男の子にしては白すぎるくらい白かった

「春日ってさあ、地味だし眼鏡とかありえないけどスタイルいいよね」

隣で洋子がぼそ、と言った
確かに、春日くんはスタイルがいい
手足がすらっと伸びていて
細すぎず太すぎず

「眼鏡外したら美形とか?」
「んなわけ!」

ケラケラと洋子と笑いあう
そんな私たちを見て
数人の女の子達が寄ってきた
話していた内容を話すと
皆口々に春日くんの悪口を言い始めた

「私あの人に無視されたんですけど!」
「あー!私も!ペン落としてたから拾ってあげたらお礼も言わないで!」
「うそっ!」
「てかあの眼鏡ありえない!」
「そー!キモイよね」

眼鏡だけでキモイといわれる春日くんが少し可哀想に
思えたけど、別に友達なわけでもないし
庇う必要もないなと思って
皆と笑いながら聞いていた