「タケル!


これはどう乗るのじゃ?


動かせ!!」


 殿が僕に騒いだ。


 僕は殿の後にしがみつきながら、


「え、動かす?は?」


 半ば半狂乱になりながら、


 僕はキーが付きっぱなしだったので、


 鍵をググっとまわした。


 ブオオオオ!!


 爆音と爆風とともに僕らをのせたバイクは


 走り出した。


「殿ぉぉー!!」


 僕は殿の長いサラサラの髪を


 顔面に一心に浴びながら叫んでいた。


「タケル!


よくつかまれ!!」


 僕は殿につかまりながら、


 後を振り返った。


「殿!!


あいつらが追ってくる!!」


 当たり前だ。


 あの金髪のバイクなのだから。


 殿はチラりと後を向いて、


 細い横道へとバイクを走らせた。


 僕はいきなり右に曲がったので


 頭をごわわーっと引っ張られそうになりながら、


 殿の背中に女みたいにしがみついた。