いつも、昔の話をしてくれる。

楽しそうに話すウメさんはとてもかわいい。

大手デパートで、エレベーターガールをやっていたウメさんは、
「その頃は、とっても器量がよかったのよ。」
得意げに話した。
そのデパートでご主人と出会ったらしい。
ウメさんのご主人は、出会った当時は、デパート会長のお孫さん。
見初められて結婚。
今は、会長さん。息子さんが社長さん。
もちろん、とっても大きなお家に住んでいる。
 
話は変わり、ウメさんのお孫さんの話になった。

「最近の若い子は、何を考えているのか、分からないのよね。」

ウメさんの話だと、お孫さんは、相当遊んでいる人だろう。
容姿端麗で学歴もある。そりゃ、モテルはず・・・。

どうやら、ウメさんもご両親も、困り果てている様子らしい。
色々、さぞかし心配していることだろう。
どうやら、今は東京で両親と暮らしているらしい。
しかし、なぜか最近こっちに来る機会が増えて、ウメさんの所に顔を出すようだ。

ウメさんは、壁にかけてある時計に目を向けた。

「あらやだ。もう1時間になるのね。瑛子ちゃんごめんね。またお仕事の邪魔しちゃったわね。」

腰を浮かせて、立ち上がった。私は、手を取って入り口付近まで一緒に向かった。
「ありがとうございました。」
手を振りながら、ウメおばあちゃんを見送った。


瑛子にとってこのコインランドリーが、たった一つの宝物。