店内には、小さなベンチが3つ置いてある。
本棚には、いつの間にか本が増えていた。
コインランドリーに来たお客さんが、置いていくようだ。
雑誌、コミック、趣味の本などジャンルもさまざまだ。


瑛子は店内を見回した。
「よし。OK」
お店のシャッターを開けた。時間は午前8時。

さっそく、近所のウメおばあちゃんが入ってきた。

「瑛子ちゃん、どうだい?お店は?」
元気な声が聞こえた。
「おばあちゃん、おはよ。お店綺麗になったでしょ。」
腰を曲げた、ウメおばあちゃんがちょっぴり上を見上げた。
「びっくりしたわ。ほんとね。とっても、きれいになったわねぇ。」
私は、ニッコリと笑って、
「でしょ?」
つい、得意げに言った。
「それじゃあ、早速乾かしてもらおうかしら。でも、この乾燥機の方がいいわ。」
いつもの乾燥機を指指した。
「はいはい。」
少しの洗濯物を受け取り。いつもの乾燥機に入れた。

ウメさんは、雨が降りそうな日は決まって、来てくれる。
結構頻繁に。

さっき指を指した乾燥機は、ウメさんのお気に入り。
古い方の乾燥機が好きなのだ。

最新の乾燥機のように、高温で乾かさないので、洗濯物が痛まないのが特徴だ。
しかし、乾燥に時間が掛かるのが難点だ。
洗濯物は心なしか、ふっくらと仕上がる。
私も、この乾燥機が気に入っている。
ちょっとレトロなデザインなも特徴的なのだ。
私の、生まれた年に出来たコインランドリー 5分100円。