並んで歩くと、彼の背が高い事に改めて気付かされる。
私はもう既に彼の一挙一動に頬を赤らめていて、その赤さが酒に酔ったそれになるならば、有り難かった。

私と横田は、とりあえず近くの居酒屋へと入った。彼はビールを頼み、私は梅酒を飲んだ。今日初めて会った戸惑いも無くしてしまうくらい、彼は饒舌でおもしろかった。
私は話を聞きながら、素直に驚き素直に笑った。彼の左手の薬指には指輪が光っていたが、彼はそれについて話す事はなく、私はショックを受けると共に今日が一日限りのヘルプだった事に安心していた。

彼は自分の夢や、好きな事についてよく話した。どうでもいいような事を煌めく笑顔で語ったし、事実はそこからこぼれるようにして自然に出てくるものだった。
私は大学の話やサークルの話、サークル内で付き合っていた人と二ヶ月前に別れた事などを話した。
彼はビールを二杯と緑茶杯を二杯飲み、私は梅酒を四杯飲んだ。酔いは完全にまわっていて、不思議な安心感はその酔いをさらに心地よいものにさせた。