不在着信は二十三件。
横田からの連絡に出なくなってから、着信履歴は横田勇の文字で埋まっている。
最初の日は、三件。翌日に八件。三日目に十件。今日起きた時点で二件。
彼が家を出る時、正確には家に帰る時に私がはじめて告げた「さよなら」は部屋の玄関にまだ漂っている。
その言葉ごと持って帰るような事を、彼はしなかったのだ。
そして私はその一言で想いをぶつけるにはあまりにも深い安心感を彼に与えていた。