着信履歴の様子からしても、彼はまだ私のいない空間に完全に戻れてはいない。置き去りにした私を恨むかもしれないし、私が死んだと思うかもしれない。

それからの日々は、戦いの日々だ。私の中の雪崩は去ってしまった。私が彼を愛しながらに我慢していたものが溢れてしまったと共に、私はあらわになったその刃を自分に向けるしか出来なくなっていたのだ。
その刃に対抗出来る程の力は残っていない程、全てを彼への愛に注いでいた事を私はその時知った。その愛によって傷つく事しか出来なくなっていたが、きっと私が彼の右隣に戻っていたとしても、愛はより深い傷しか私達にもたらさなかっただろう。
事実は、シンプル。
彼が戻る場所は、ひとつ。
私は、行く場所を探している。
私は彼の右隣に戻る事は無いし、次に誰かと付き合ったらその人の左隣を歩くだろう。
彼の左隣は、ずっと変わる事はない。