「はい」

少女は私の鼻先に手紙を差し出す。

「私の『飼い主』からよ。貴女に届けるよう頼まれて、わざわざ渡蘭市から足を運んだんだから。感謝なさい?」

「……」

手紙を受け取り、しかし。

「貴女の飼い主?私は女を飼うような悪趣味な奴に知り合いはいないんだけど」

読みもせず、肩にかかった黒髪を払う。

冷ややかな視線が、少女と交錯する。

「やめてよ」

少女は薄く笑った。

「そんな挑発的な視線を向けられたら、私も試してみたくなるじゃない」

「試す…?」

傍らにいた修内太の言葉に、少女は頷いた。

「私の『無影の蹴撃』とメグ・デッドゲイトの魔術、どっちが上なのかね…」