まだ傷の痛む体をおして、玄関先に駆け出すと。

「いたたたた…」

右手を押さえたまま、一人の美少女が玄関に立っていた。

背中までの長く美しい黒髪、切り揃えられた前髪。

スラリとしたスレンダーな体つき。

身のこなしも、仕草も、どこか高貴で優雅さを感じさせる。

見慣れない制服を身につけた、見た目私と同じ高校生くらいの少女。

その制服が琉羽爾亜(るばにあ)学園高等学校のものである事を知ったのは、随分後の事だった。

…身構え、牽制する私と修内太に対し。

「流石はデッドゲイト邸の結界ね…ドアノブ握っただけでこれほどの洗礼を浴びせられるなんて…右腕吹っ飛んじゃうかと思ったわ…」

その少女は上品な微笑を浮かべた。