修内太もまた、『狂化』の反動で重度の筋肉痛を引きずったままだった。

人間の能力を超越した戦闘力を、呪いによって無理矢理に引き出す『狂化』。

いわゆる狂戦士(バーサーカー)と化してしまう魔術だ。

本来ならば人間の筋肉や骨格が、その戦闘力に耐えられる筈がないのだ。

重度の筋肉痛だけで済んだのならば、僥倖というべきだろう。

…お互いにそんな無様な状態という事もあって、放課後には魔術の修行のつもりで私の館に訪れるものの、結局はこうしてダラダラと無駄な時間を過ごしてしまう。

時は金なり、という諺が日本にはあったわよね…。

だとすると、私達のこの無為な時間の過ごし方は、相当な無駄金という事になるのかしら。

そうだとしても、まだ張り切って修内太の稽古をつけてやるには魔力も回復していなかったのだけど。