とはいえ、ここまでの偽装工作には骨が折れた。

武羅人との戦いで魔力も体力も消費しているというのに、一睡もせずに一晩かけて偽装に奔走したのだ。

記憶の消去、偽の記憶刷り込み。

それを数千人、数万人単位に魔術行使するのだから、並大抵の労力ではない。

…かくして、『ただ喧嘩したさ』でやってきた武羅人の訪問は、私と修内太に最悪の記憶のみを残していく事となったのである…。