こうして武羅人との『喧嘩』は終わった訳だけど。

実はここからの方が大変だった。

御影市のいたる所を破壊して回りながら展開したこの喧嘩によって、私と修内太は散々魔術を行使する所を目撃されている。

このままこの街にはもういられないし、いれば数百年前の魔女狩りの再来にもなりかねない。

そこで私は一計を案じた。

といってもそんな小難しい事じゃない。

私達が魔術を使って武羅人と闘った事自体を『忘れてもらおう』というのだ。

私がPAで行使した『広域畏怖』の魔術と同じ要領で、『広域忘却』の魔術を行使。

武羅人との戦いの数時間分の記憶を、御影市の全ての人間から消し去ったのだ。

幸いテレビ局などはまだ私達の姿を映像にはおさめていなかったらしく、その後の言い訳は何とでもなった。

実際に破壊された御影橋や高速道路、PAは、大規模なテロによるものというでっち上げの記憶を人々に刷り込む。

そうする事で、翌日の新聞には『御影市で無差別テロ』という見出しが載る事となったのである。