両者立ち止まったままの、凄絶な打撃戦。

お互いに一歩も退かない。

言葉もなく、ただ殴り合う音だけが周囲に響いた。

二人の顔は紅に染まり、二目と見られないほどに腫れ上がる。

時折、血以外のものが飛び散るのが見えた。

殴られる事で、歯が砕けているらしい。

それでも拳を振るうのをやめない。

…片腕にもかかわらず、どちらかというと武羅人の方が押しているように見えた。

常人離れした戦闘力を得たとはいえ、修内太は魔術によって得た力だ。

ここに来て地力の差というものが出てきたのかもしれない。

次第に修内太の手数が減る。

武羅人の拳に力が宿る。

そして!

「!?」

武羅人の左腕が、目に見えて大きく脈動した。

堕蓮の心臓から、大量の血流が送り込まれる!

次の瞬間!

「っらぁああぁぁっ!!」

何かが修内太の体で爆発したのではないか。

そう思えるほどの武羅人の拳が直撃した!