「ぐ…」

武羅人がゆっくりと立ち上がる。

驚いた。

武羅人が苦痛に顔を歪めている。

それだけ修内太の攻撃は堪えたらしい。

「何だ…お前…その赤い眼…牙…お前も…堕蓮持ちか…?」

「一緒にするんじゃねぇよ」

修内太は明らかに苛立っていた。

「何とか『狂化』しても理性は保てるようになったけど…まだこの状態になるとイライラするんだ…無駄なお喋りしてる余裕はねぇよ…」

そう言って、彼は弾けるように武羅人に襲い掛かる!

「さっさと決着つけさせろ!」

まだ立ち上がったばかりの武羅人に対し、強烈な右の拳!

「っっっ!」

それだけで武羅人の膝が崩れた。

たった一撃の拳で、武羅人が軽い脳震盪を起こしている。

亜吸血種で、堕蓮持ちで、私がどれだけ魔術を行使しても平気な顔をしていたあの武羅人が。