武羅人が怪訝な表情を見せた。

「何…?」

「わかってないわね」

私は右手で額を押さえる。

「『魔術が使えても人間』…貴方修内太の事をそう評したわね…その認識は誤りよ。彼は」

私の言葉の途中で。

「!!!!」

武羅人が修内太の方を見る。

全身総毛立つような悪寒。

まるでブレーキが壊れ、アクセルをベタ踏みしたまま回転し続けるエンジンのように。

瀕死の筈の修内太の魔力が、天井知らずの上昇を始めていた。

「『修羅』よ」

私の言葉と共に。

「な!?」

突然立ち上がる修内太!

彼は武羅人の首を片手で掴み、10メートル近い高さにまで跳躍した!

跳躍しながら武羅人の顔面を殴打!

そのまま下降を始めてもその拳は止まらない。

殴って、殴って、殴って殴って殴って殴って!

地面に激突する寸前で。

「おらぁああぁっ!」

サッカーで言うオーバーヘッドキックの要領で武羅人を蹴り飛ばし、アスファルトに叩きつけた!