「おっと、いけない」

私はアンティークとしても相当な値打ち物の古時計を見て立ち上がる。

ボンヤリしているうちにこんな時間だ。

飲みかけていた紅茶を一気に飲み干し、鞄片手に立ち上がる。

「それじゃあ長老行ってくるわ。留守番よろしくね」

天井に渡したとまり木にとまる梟に言うと、夜型…もとい、夜行性の私の使い魔は、こっくりこっくりしていた。

頷いたのか居眠りしているのかは判断に迷うところだ。

…使い魔、長老。

先代デッドゲイト当主にも仕えていた使い魔。

好色で年下をからかうのが趣味で、私を主人と認識していない節のある生意気な老人だけど、長生きなだけあって闇の世界の知識は豊富にして膨大。

頼りなげに見えて、私の有能な使い魔だった。

もっとも、使い魔というと怒るのだけれど。

曰く、「自分が仕えているのは先代デッドゲイト当主様のみ」。

じゃあ私は彼の事はペットという認識でいいのかしら?

もっと怒りそうだけど。