しかし、本質はともかく私の見た目はただの女子高生に過ぎない。

そんな女子高生が突然現れ、「死ぬからこの場を離れろ」なんて叫んでいるのだ。

真に受ける人間などいる筈がない。

春先だし、ちょっと頭のおかしい奴が訳のわからない事を喚いている程度にしか見ていないのだろう。

「ああっ…もうっ…!」

私は苛立つ。

ここにいる連中はどうだか知らないけれど、私には時間がないのだ。

与えられた時間は…というか、私が豪語した時間はたった3分。

それ以上過ぎれば、恐らく修内太は武羅人の相手などしていられない。

だから、『強硬手段』に出る事にした。

「貴方達…ここから離れなさい!」

呪眼に魔力を注ぎ込み、この場にいる全ての人間に強制的に魔術を叩き込む!

『広域畏怖』の魔術。

本来ならば目を合わせなければ効果のない『畏怖』の魔術を、このPAにいる全ての人間に強制的に行使した。

人間の心に潜む潜在的な恐怖心。

その恐怖心を魔術によって増幅させる。

「う…うわ…あぁああぁぁあぁぁ!!」

途端に巻き起こるのは悲鳴、絶叫。

PA内の人間達は、魔術によって勝手に大混乱を起こし、我先にとその場を逃げ出し始めた。