不用意に接近してカウンターを貰うような真似は繰り返さない。

私は少し離れた距離から高速詠唱する。

「      」

両手に収束する青白い光。

手の中で時折スパークし、暴発寸前に膨張する。

その光を、武羅人の背中目掛けて撃ち放つ!

『雷槍』の魔術。

その名の通り何者をも貫く雷が、武羅人の背中に襲い掛かる!

が。

「!?」

あの男はどこまで獣じみているのだろう。

最早野生の勘とも言うべき反応で、武羅人は『雷槍』の魔術を回避、トラックの幌から別の車の屋根へと飛び移った。

「まるで豹みたいな奴ね」

ともあれ修内太の救出に成功。

私はトラックの幌に着地した。