沙耶姉ちゃんが生きてる間に言った、初めての頼みごとだった。

 だからあたしはagehaになんの!

 くだらない?笑




「今から志望校記入の紙を配る。

 名前を書いてから第一、第二、第三の志望校を書け」

 おじさん先生がそう言って髪を配った…いや、紙を配った。

 あたしは名前を書いて、第一のところに素早く『大阪府立若葉大学』と書いた。





 放課後。

 先生に呼び出されちった。

 大学のことかな?

「あゆ呼び出されたの!?

 こんな大事な時期に何しでかしてんだよー」

 麻美と美貴があたしを笑う。

「うっせーなあっ!

 ほっといてよ!」

 あたしはそう言い残して職員室に行った。




「お前、大阪の大学受けるつもりなのか?」

 おじさんが話し始めた。

「親不孝な奴め。金かかんだぞ?

 それに、1人暮らしも危ねえし。

 お前も緑大学にしとけよ」

 なんだかんだ言ってるけど、結局は願書を出すのが面倒くさいんだ。

 あほみたい。

「あたしは、若葉大学に行きたいんです」

「緑大学の方が近いぞ?」

「近い、遠いは関係ないです。

 若葉大学は寮制だし、学費もバイトでなんとかします」

「それでもよお、大阪って…」

「なんであんたの都合に合わせなきゃいけないの?

 どーせ自分がめんどいからなんでしょ?

 志望校は生徒が決めるもんなんじゃないの?

 あんたが決めてどーすんだよ」

 自分でもビックリした。

 ビックリしたあと、少し後悔した。

 でも、ビックリしたのはあたしだけじゃなかったみたい。

 おじさんもビックリして、こほんと咳払いをして

「好きにしろ」

 と言った。