「おっはよお!」

 教室に入るなり、親友の麻美が抱きついてきた。

「麻美、おはよ」

 あたしは軽く返事をした後、机に鞄を置いた。

「あ、ねえねえ。鮎佳!

 鮎佳はどこの大学行くの?

 やっぱ緑大学行くの?」

 あたし達が通ってる高校は保育士を目指している人が半分以上だ。

 緑大学は保育科のある全国有数の大学で、緑大学に行くのが普通だった。

「あたしは、大阪の若葉大学かな…」

 あたしが呟くと、麻美はあたしの頬をつねった。

「なんで大阪!?

 緑大学の方が地元だし、近いじゃん!」

 かなり痛いんですけど…

「あ、わかったあ!吉本行きたいの?」

 違うし。

「違うよ!何で吉本行くんだよ」

「あら?違うの?」

 違うよ!キャラ壊れるからやめて。

 あたしにはやりたい事がある。

 くだらないけど。

 でもあたしだって、理由がなくてただ単にやりたいわけじゃないんだよ?