ユーリの言葉に嬉しそうに返事するルシイル。
意味がわかっているのかはわからないが。
「確かにあの瞳だとすぐに天使と悪魔の子だってわかっちゃうわよね」
クナルはそう言ってルシイルをつんつん突っついた。
リルもそれを真似して同じ赤ん坊をぺんぺん叩く。
クナルが言う通り、アレンがルシイルの目の色を変える前は一目でそれだとわかる色を赤ん坊の瞳はしていた。
「金と銀のオッドアイなど厄介な色をしているもんじゃ」
リディンはそう呟くと溜め息をつく。
メディンが何やら幸せが逃げるなどと言っていたが、それを綺麗にスルーしリディンは自分もルシイルの頬っぺたをつんつんしだした。
…ユーリには何だかおもちゃにされた赤ん坊が可哀想に思えてきたとか。
「しかし…これから大変になりそうじゃのう」
「え?何がですか??」
囁いたリディンにクナルが訊けば、その顔は険しくなる。
クナルとその腕の中のリルも、ユーリとまたまたその腕の中のルシイルも、温和な彼女のその表情にかなり驚いた。
「…占星術師の勘じゃよ」
そう呟いたリディンの紫の瞳は、アレンらが去った扉を心配そうに捉えている。
メディンもそちらを眺め、ゆっくりと目を細め眉を下げて頷いたのだった。
そして、その老人達の勘は当たってしまうことになる。
まだ少し先の話だが、白と黒の影によって──…