(ルルアンみたいに出来たらいいのに…)
あの子供はエルフだから城にいられた。
絶滅危惧種の保護、という名目で。
しかしユーリには一応住むところもある。
後味が悪いが断るしかないのだ。
「…ユーリ、あのさ。城に置いてやりたいのは山々なんだけど…無理なんだ」
アレンは出来るだけ優しくそう言った。
俯いていたユーリは弾かれたようにアレンを見上げる。
「無理…?」
「…ごめんな」
──…どうにかしてやりたいけど。
その言葉は口には出さないでおく。
実際出来ないくせにそんなことを言っても無責任だ。
それに、余計な同情は相手を傷つける。
「…何で?」
震えるユーリは一生懸命涙を堪えていた。
レイが眉を下げ悲しそうにするが、自分達にはどうしようもないのだ。
「働きたいだけなのに。それも駄目なの?」
「城での仕事はそんな簡単なもんじゃない」
「国民を助けるのが勇者じゃん。俺、国民だよ?」
「…わかってる。出来るだけのことはするから」
俯いたユーリのくすんだ金髪を撫で、アレンは囁いた。
また仕事が増えたが仕方がない。
こんな子供を放ってなどおけない。