「…ユーリ、落ち着け。何が嫌なんだ」
アレンはリルをまたクナルに返し、ユーリに向き合った。
ユーリは目の前の青年を見上げ、今にも泣きそうな顔で訴える。
「…俺、両親がいないんだよ。生きてんのかもわかんないの。
気付いたら道端にいた。そこで拾ってくれたじいももう死んじゃった。
じいと住んでた家に今いるんだ。大家さんが金はいいからって貸してくれてるけど、もう迷惑かけたくないんだ!
だから、自分で働きたいの!でもどこも子供だからって入れてくれなくって…っ」
「…………………。」
ユーリの必死な訴えにアレンは表情を歪ませた。
──…一瞬でも羨ましいと思った自分が、凄く嫌になった。
それに、こんなに一生懸命なユーリを受け入れてやれない。
ユーリの事情はわかった。
働きたい意思も伝わった。
でもそうやって受け入れたら、後がたたなくなってしまう。
色んな人らが言い寄って来るようになるだろうし、一応ここにも年齢制限はあるのだ。