ユーリのさりげない言葉を一蹴し、アレンはルシイルを奪い返した。


──…が、その瞬間ルシイルはくしゃりと顔を歪めまた泣き出しそうに。


どうやらアレンに対して怖いイメージがついてしまったらしい。



「…………………。」


「ほらーっ!ルーは俺じゃなきゃ嫌なんだよ!!だから城に…」


「ふざけんなっつっただろ」



仕方なくルシイルをユーリに預け、ベッドに腰掛けたアレンは面白くなさそうに足を組んだ。


ついでに言うとさりげなく隣に座るレイにマケドニスは感嘆したとか。



そんなマケドニスを無視してユーリは喚く。



「何で!城に住みたいっ!!」


「家があるくせに何言ってんだ」


「…ある、けど嫌なんだもん!」


「はぁ?」


やって来たリルの相手を適当にしながら返したアレンに、ユーリは涙目になった瞳を向けた。


驚いたアレンはその橙色の目を覗き込む。




「……ユーリ?」


「嫌だ嫌だ嫌だ!もう気遣われるのも迷惑かけるのもやだ!

なぁ、俺ちゃんと何かするから!雑用でもするから城に置いてよ!!」


ユーリはルシイルを抱いたままジタバタ暴れだした。


その必死さにアレンやレイ達は目を丸くして驚く。



よくわからないが、…ユーリは家が嫌いらしい。


この年でそんなことを言い出すのだからよっぽどのことなのだろう。