そんなレイの言葉を聞いたルシイルは、ピタリと泣き止んで自分を抱く彼女を見上げた。


それからしばらく黙っていると、不意に小さな手を伸ばしてサラサラの金髪を掴む。



「どうしたの、ルー」


「…………ぅう?」



…金髪のレイに母親を重ねたのだろうか。


ルシイルは不思議そうにマリンブルーの瞳を見つめ、少し首を傾げた。



その様子をアレンやマケドニス、クナルやユーリは息を呑んで見守る。



…ちなみにリルはまたアレンにすがり付こうとしていた。




そうしている内にキョトンとして動かなかったルシイルに変化が訪れる。



「……ぅ、うぇ…ん」


「…あ」


「…駄目でしたね」



金髪の赤ん坊はまた涙目になってしまった。


やっぱり無理だったぞレイ=ヴァンヌ作戦。



彼女は困ったように腕の中の子供を見下ろし、途方に暮れてしまった。




アレンも駄目、レイも駄目。




それなら、とアレンは次にマケドニスに目を移す。


しかしマケドニスは頭を振ってそれを拒否した。



確かにレイが無理だったのだから彼も駄目だろうが、アレンは腹いせに側近を睨み付ける。


しかし慣れたものらしく、マケドニスは全く動じない。