ゆっくり優しく抱き上げられ、ルシイルは少し固まった後に今までずっと閉じていた瞼を上げた。
──…澄んだ碧の瞳とぱっちり目が合う。
アレンは赤ん坊の目を見て、驚きに言葉を失った。
そして、しばらくの沈黙の後。
「…うぎゃあぁああん!うぎゃあぁああん!!」
「「「…………………。」」」
──…泣き止まなかった。
何でだ。
そう思う前にアレンはあまりのうるささに顔をしかめる。
しかもそれを見たルシイルは更に大泣きしだした。
……超悪循環。
「あーもう、アレン君ったらそんなしかめっ面したら怖がるに決まってるでしょう!ほら、笑いなさいよ」
見かねたクナルがそうアレンに注意した。
めちゃくちゃ楽しそうなのは気のせいではないだろう。
そんな彼女の言葉にまたアレンは嫌そうな顔をする。
──…そして。
「…レイ、パス」
「えっ、ちょ、ちょっと」
いきなりルシイルを渡されレイは慌ててその子を抱いた。
…また一瞬固まる赤ん坊。
「ルー、大丈夫よ」
ヴァンヌがルシイルを『ルー』と呼んでいたのを思い出し、レイは優しくそう呼び掛けた。
さすがと言うべきか、キラッキラスマイルも咄嗟にやりこなす。