そうしてこうして、やっと城に着いたアレン達。
馬鹿デカイ城の敷地の移動は変に時間がかかる。
「あっ、アレン!やったぜえぇええぇ!!」
一行が真っ白な建物に足を踏み入れた瞬間、そんな嬉々とした声が聞こえてきた。
ついでに前から赤い物体がアレン目掛けて飛び付いてくる。
しかしそれはアレンにさっとかわされ、床に思いきりダイブしたのだった。
「…いってえぇ!!」
「うっさいギルク。飛び付くな、イルかお前は」
強か鼻を打ったらしくジタバタのたうちまわる物体──ギルク=カクブェンに、アレンは冷ややかな言葉を浴びせた。
ギルクは立ち上がると涙目でアレンを睨む。
「お前ぇっ!ひでーんだよ、この鬼っ!!」
「人間ですけど」
「例えだこの野郎!しらばっくれんなあぁ!!」
尚も冷めきった反応のアレンに、ギルクはどでかい声で喚きまくった。
ここらへんも一年半前と変わらない。
コニスやフェニスは自分も同等の扱いを受けたくせに、二人のやり取りに大爆笑していた。
「はいはい。で、何が嬉しいんだ?」
アレンはさっさと済ませたいのかめんどくさそうにギルクに訊く。
訊かれた途端にギルクの漆黒の目が爛々と輝きだし、まずったと思ったがあえて口には出さなかった。