「………とりあえずベッドから降りてくれないか」
背後から不機嫌オーラを感じとり、マケドニスは少し青くなりながらユーリに言った。
ユーリはその不機嫌オーラを出す誰かさんを見て気付いたのか、そこから慌てて飛び降りる。
しかし素直なのもそこまで。
床に足をつけたユーリは、ベーッとアレンに向かい舌を出すとすかさずベッドの影に隠れた。
…本当に懲りない奴である。
「………うぜぇ」
(誰が助けてやったと思ってんだあいつ…!)
──…そんなアレンの心中を察してか、レイが苦笑いしながら彼を宥める。
さっきよりも更に不機嫌になってしまったアレンは、仏頂面でベッドに歩み寄るとルシイルを見下ろした。
ついでにユーリを一睨みするのも忘れない。
赤ん坊が起きていたら泣き出さんばかりの鋭い目付きだ。
「…起きねぇな」
「爆睡ですね」
アレンの呟きにマケドニスがリルを押さえながら返す。
リルはアレンと遊びたいらしく、彼の腕の中で暴れまくって喚いていた。
「でもそろそろ起きるんじゃないかしら。もうすぐお腹がすく頃よ」
クナルがそう言ってマケドニスからリルを受け取り抱く。
それでもなお暴れるリルだったが、ママにビシリと怒られ大人しくなった。