そのまま無言になったアレンに従い、レイもマケドニスも何も言わずに彼についていった。
式典最中の騒ぎもあり疲れているだろう、と心配そうに勇者を見る側近。
やはり気になるのか視線を落とし何か考える精帝。
それらに気付いていながら、何も言わずただ足を動かす勇者。
その三人とすれ違う臣下達は不思議そうにしながらも頭を下げる。
「……ルシイル、どうしようか…」
ふとアレンが小さく呟いた。
レイは顔を上げ彼を見つめる。
「俺が世話しようにも…忙しくて無理だし。空いてる人がいない」
「……クナルにリルと一緒に世話させましょうか?」
「いや、クナルは子育てで大変なのに城にも来てくれてるんだ。これ以上は無理だろ」
そう返したアレンにマケドニスは何も言わなかった。
確かにクナルははじめての子育てに苦労している。
マケドニスが手伝っているから城には来れているが、本来なら仕事は出来ないだろう。
「……困ったわね」
私が出来たらいいんだけど、と溢すレイだが彼女も仕事がある身だ。
ただでさえイルが妊娠してその執務が回って来ているのに、レイまでもがそれを出来なくなれば他の人の負担が今以上に増えてしまう。