「レイ様のこと、よぉーくわかってらっしゃるんですねぇ」

「…はっ!?」

「おやー?天下の勇者様が真っ赤ですが?」


やけに楽しそうなその様子にからかわれていると気付き、アレンは側近を睨んだ。

最初の頃は竦み上がっていたくせに、今は何処吹く風なマケドニスはニコニコしてアレンを見下ろしている。



「…お前、クナルに似てきたろ」

「そうですか?」


気のせいですよ、そう言って笑うマケドニスは何処か嬉しそうだった。

あの鬼医者に似てると言われて喜ぶのか、と彼の重症っぷりを見てしまった気がする。

鬼だの何だかんだ言っているが、結局はマケドニスもクナルが好きなのだ。



「…クナルに言ってやろう」

「? 何をですか?」

「何でもない」


せいぜい恥かきやがれ、と心の中で毒づいて、アレンは些か黒い笑みを浮かべた。

その明らかに何かを企んでいる顔に、マケドニスは冷や汗を浮かべる。



「アレン様、一体何をしでか」

「戻ったら軍の隊長副隊長集めろ」

「…はい」