「よかったです、理解してもらえて」



あの後大まかだが今後の予定を教皇に伝え、二人は聖堂を去った。

リシェラルク皇国をアレンの魔法で去り、城に着いたところでマケドニスは言う。



「…そうだな。拒否されたらどうしようかと思った」

「まさかその場合のこと、考えてなかったんですか?」


コクリと頷いたアレンにマケドニスは心底呆れたような顔をした。

それに気付いていながらも、アレンはそちらは見ず御守りを手の中で転がす。



「アレン様」


中に入りますよ、動かない様子の主人に側近は訝しげに声をかけた。

ん、と一言返したアレンは、さっきまでいじっていたそれをマケドニスの手に押し付けると、無言で踵を返す。



「アレン様?」

「ちょっと行くところがある」

「…どこへ?」



訊ねれば、青年は足を止めた。


くるりと振り返って、少し笑う。




「来る?」

「…………………。」

「…お前の好きに、したらいい」



それは着いていくことなのか、それとも。




「……行きます」




悩んだ末にそう答えを出した側近に、勇者は寂しげな笑みを和らげた。