「わかりましたわ」


最初に発されたのはそんな一言。

アレンとマケドニスは揃って安堵の息を吐いた。


それを見てクスクス笑う教皇は、外にいたニーナを呼ぶと何やら指示をする。



「私もレイちゃんに早く戻って来てほしいですしね。でもアレン、気を付けなさいな」


そう言いながら命令を受けたニーナが持ってきた物を差し出し、彼女は目を細めた。

白い細い手からそれを受け取ったアレンは、まじまじとそれを見つめる。



「これ…」

「御守りとして持って行きなさいな。洗脳を解く程の力はありませんが、少々抵抗するくらいなら出来るでしょう」


サリルナ教皇が渡してきたのは、小さな御守り袋がいくつか。

中を見てみると、小さな紅い石が収まっていた。

金紅石、と呟いたマケドニスにニーナが頷く。



「小さい物しかこの聖堂にはなかったのですが、役に立てればと思って」


急遽作りました、あくまで単調に言う教皇の側近だったが、その内容は感極まるものだった。


一度それをギュッと握って、アレンは頭を下げる。