「それで、あと一つなんですけど。…許可をとりたいことがあって」


何かが吹っ切れたのか、些か元気の戻った声に教皇は余分に瞬きした。

見れば、表情も少々すっきりしている、…気がする。



「許可?何の許可ですの?」


自分のおかげ、なんて自惚れる気はないが、どうしても嬉しくなってしまう。

トーンの上がった繊細な高い声に苦笑する側近の隣で、勇者の方は至って真面目な顔をした。



「戦闘許可です。本来なら帝王が何かしらしてからだけど…、彼は動かないし。それを待つよりは、ヘレヴィアに乗り込んでレイを取り戻したい」


皇帝には既に許可はとりました、そう言う主人に側近はいつの間にと目を丸くした。

教皇もまあ、と口元に手を宛てまじまじとアレンを見ている。



「制裁者として制裁を下す、ということですの?」

「制裁というか…、目的はレイの奪還のみです。けどそうなってしまうのもわかっているから、後々ジスカルにも赴こうと思ってます」


告げたその内容はマケドニスには既に話されていたもの。

一緒になって頷いた側近を見やり、アレンはそこからは黙って教皇の返答を待った。


その白き美女は少しだけ目を伏せ考えた後、二人に顔を向けにっこりと笑む。