「…お前は守る。だから安心していろ」


そう言ったデスティンの言葉は、昔言われたそれと同じだった。

ああ、これを言われた後にこの人に着いていくと決めたんだったなあ、とヴァンヌは笑顔の裏でしみじみと思う。


そして、私もデスティンのこと守るから、と昔のように返そうとした時だった。









「へえ?じゃあ今まさにその約束の守り時だねぇ」









──…不意に頭上から、楽しそうなのんびりとした声。


ハッと顔を上げた先の木の枝に立つ、見知った顔。




「に、兄さん!?」


ヴァンヌが驚いて声を上げる。

と同時に、ザザッという木の葉の擦れ合う音と共に、かなりの人数の天使が地面に降り立った。


一瞬にして、囲まれる。




「やあヴァンヌ。今日ぶりだねー」

「…兄さん…何これ、どういうこと…?」


暢気ににこにこと話しかけてくる兄ラヴァネに、ヴァンヌは信じられないと言ったような顔をした。

デスティンはすぐに彼女を背に隠したが、四方八方から囲まれている為それはあまり意味を為さない。



「何ってー、捕獲?」

「…っ!」


事も無げに言った実の兄。


ヴァンヌはデスティンの服の裾を握りしめ、唇を噛み締めた。