〈ようこそ、レヴィオル国勇者42代目〉

「………どうも」


移動魔法でやって来たのは、ウィスカだった。

父が魔法で登場したことに驚くアレン。


「……お前がこの元凶か?」


訊ねたウィスカは、魔王の後ろにいる兵士や国民に目を移す。

そして怯える彼らに、安心させる為微笑んだ。


人質の中の女性数人が場違いにも頬を染める。



「そうか、アレンこれもアイツに似たのか」

「は?」


ルティは何でもない、と魔王とウィスカを見るよう親友の息子を促した。




〈貴様が邪魔だったんでな。位を降りて貰えてちょうどよかった〉

「…あー、待ってた訳ね」


魔王の言葉に苦い顔をする42代目勇者。

倒れた43代目を見ると、今度は悲しそうな顔をした。



「何でこんなことをする?せっかく平和だったのにさ」


そう言う声には、悲しみと静かな怒りがこめられている。

それわ聞いた魔王は、愚問だとばかりに鼻を鳴らした。


〈我はいずれこの国だけでなく世界をとる。我が闇王、いやそれ以上となるのだ…。その為には一番邪魔なこの国と貴様を潰さねばならん〉

「闇王、ね…。アンタのその真っ黒い魔力はさしずめその闇王の力ってとこか?」

〈そうだ。あの女は、騙され我に力を渡した。そして、我はあの女を攻撃した〉