42代目勇者は最後にもう一度微笑むと、足元に魔方陣を広げた。

白い光の眩しさに目を細めるルティ。

それでも真っ直ぐ親友を見る彼は、表情を緩め呟く。



「お前のそれも久しぶりだな」

「俺も久しぶり。まぁ弱いしリフォレ辺りにしか移動出来ないけどな」


苦笑いすると「じゃあなルティ」と一言残して光に包まれるウィスカ。

だんだんと光は増していき、そしてとうとう彼は姿を消した。



急に閑散とするその場所。



残されたルティは、微笑みながらも少し眉を下げる。




「本当に…なんでいなくなっちまったんだろうな」



囁いて、立ち上がる。

それから後ろに体を向けやって来る彼を待った。




──…あまり引きずってはいられない。



そう、もうあれから14年。

今いる“今日”が、その日。


彼はそんなことも知らずに、愛する家族のもとへ向かっているのだ。




…未来のことなどわからない。

知っていても、教えることは出来ない。




「辛かったろうな…アレン」



俺も楽しかったけど辛かったよ、と呟いてから、ルティは茂みの向こうを見つめる。


やがて足音が聞こえ、そして彼が見るそこから人と犬が飛び出してきた。



もちろん、アレンとルルだ。