それなら言ってくれたらよかったのに、と残念そうに言うウィスカ。

しかしアレンが行ってしまった今となってはもう遅い。

彼にも予定はあるし、手伝ってもらうことは出来なさそうだ。



「何を探してるんだ?」


城を見上げた彼は、ちらとルティを見て訊いた。

言っていいものなのか少し悩んだが、結局は親友の目力に負け海賊王はその答えを告げる。



「金紅石だよ。お前持ってるだろ?」

「ああ。…天使が何かやらかしたか」

「まぁ…そんなとこだな」


ポリポリ頬を掻いて言うルティに、ウィスカは申し訳なさそうな顔をした。

俺の代で片してやれたらよかったんだけど、と呟く未来の勇者の父親。

そんな彼にルティは苦笑した。



「そら無理な話だろ。帝王が亡くなっちまったんだしよ」

「まぁな…。あの継いだらしい新人は頼りないし」

「ざっくり言うなぁ」


ゲラゲラ笑う海賊王に、42代目勇者も微笑んでみせた。

だからビシバシいきそうなクルーズを選んだんだよ、とさりげなく腹の内を明かす彼。


ルティは「そうだったのか」と感心していたが、果たして意味がわかっているのかどうか。