「うわあーっおっきい!ルルアン家ってお金持ちぃ!?」

「…それユーリも言ってましたよ」


エフィア家を見上げたイルの感嘆の声に、マケドニスが水をさした。

あんなガキと一緒にしないでぇ、とむくれる法帝に精神年齢は限りなく近いだろうと彼は確信する。


そんなことを話していると、騒ぎを聞きつけたのか家の扉が内側から開けられた。



「…あら?アレン君?」


そこから顔を出したのは、アンナその人。

ルルアンの母である彼女は、「元気そうで何より」と微笑んだ。

きっと悪魔との事件のことを言っているのだろう。


「…アンナさん」


これから頼むことに罪悪感を感じながら、とりあえずアレンは挨拶にと頭を下げる。

マケドニス達もそれに倣い、少し異様な雰囲気に気付いたのかアンナはきょとんとした。



「とりあえず、…入る?」

「…お邪魔します」


頷いて言ったアレンは、不安そうなアンナの表情に苦笑した。

そんなに険しい顔をしていただろうか、と少し気を緩める。


そんな彼に安心したのか、アンナはまた笑みを浮かべ四人を中に案内してくれた。



最後に彼女が入り、パタンと閉まる扉。




この先何が起こり何を知るかなど、誰も知る由もなかった。