「どうしますか?アレン様」

「…………………。」


むすっとしながら一点を睨み考え込むアレン。

しばらくして彼は溜め息をつき、しぶしぶ頷いた。

それはつまり“時渡り”を使うという意味。


──…エルフの能力を、利用する。



「ルルアン家に行こう。…頼んでみる」

「りょーかいっ!」

「シンク皇帝、ダリアナ后妃…お邪魔しました」

「またいつでもおいで」


ニコニコして言ってくれる皇帝。

アレンはぺこりと礼をして早速部屋を失礼しようとする。

それをユーリは慌てて追いかけた。


「アレン待てよ!」

「…? お前、ここに残らないのか?」

「何言ってんだよ、ルシイルがいるのに!俺も帰る!母さん達にもちゃんと言ったからっ」

「…………………。」


必死に訴える少年。

アレンは無言でその頭をポンと撫でた。

着いていってもいいのだと解釈したユーリは、「親衛隊だしな!」と調子に乗り出す。


が、しかし。


「イル、ユーリとルネだけ先に帰してやって」

「はーい!」


そんな会話が聞こえたと思ったら、皇居の庭に堂々と魔方陣が広がる。

え?と目を見開いた少年と少女は、事態を察し慌てて前を歩く勇者を引き止めた。