「…過去に、行く…?」

「それだ!!」


盲点だったと額を叩くルティ。

意味をわかってはいるが乗り気でなさそうなアレン。


そんな二人に后妃は力強く微笑み、そして言葉の意味がよくわからないマケドニスとイル、ルネとユーリはきょとりと目を瞬かせた。


「アレン?どーいうこと??」

「……エルフ」


一言答えたアレンにマケドニスとイルは全てを察する。

納得した法帝は、みるみる内に顔に笑顔を広げ喜んだ。


「そうよ!それがあったじゃないっ」

「何が?エルフがどうしたって?」


未だに理解不能なユーリは、母の服の裾を引っ張って好奇心から訊ねた。

ダリアナ后妃は息子を見下ろし、優しい笑みで答えてやる。



「エルフにはな、“時渡り”という能力があるのじゃ。彼らはそれを欲されるが為に密猟されるのじゃよ」

「ふーん…。それ使ったら過去に行けるの?」

「そうじゃ。過去を見るだけの妖術とは違って体ごと」


そう教えながら頭を撫でる后妃に、ユーリは少し恥ずかしいのかもじもじした。

そしてマケドニスの方ははしゃぎ出したルティとイルを眺め、主人に歩み寄る。