「なんじゃ?空気が重いの」


部屋に入ってきたのは后妃と皇帝、そしてユーリの親子三人だった。

アレンらを見てきょとんとするダリアナ后妃は、ユーリの肩に手を乗せ息子とくっついて移動する。

皇帝に勧められソファーに腰掛けた彼女は、自分が入っても笑顔一つ見せないアレンを見上げ首を傾げた。


「どうした?浮かない顔して」

「…ちょっと、上手くいかなくて…」


それだけ呟いてまた黙り込む勇者。

ソファーの後ろから后妃の肩に手を伸ばしてペチリと叩かれたシンク皇帝は、少しうしろめたそうな顔を妻に向けてからそんなアレンに話しかけた。


「この国に来た目的がかい?」

「はい。レヴィオルにあったらしいのが…壊れてなくなったみたいなんです」


答えたのは側近マケドニス。

アレンは難しい顔をして窓辺に近寄った。

イルとルネ、ユーリは顔を見合わせ眉を下げる。


「過去に失われたと?」

「はい」

「ならば過去に行けばよいではないか」


返事をしたマケドニスに后妃はさも当然かのように言う。

側近は苦笑いして「えっと…」と口ごもったが、ダリアナのその言葉にアレンとルティが同時に反応した。