二十歳にもなっていない青年の低い声にビビった40代おっさんも、これにはさすがに抵抗する。

しかし機嫌が最高潮に悪いアレンは、ゆっくり立ち上がるとルティの傍まで行き彼の肩に手を乗せた。

いつもの黒い笑みを見せる余裕もないらしく、無表情で海賊王に言う。


「もうそれしかないんだ」

「…アレン」

「頼むから。俺も探し回る。じゃないとレイが…」

「……アレン、お前…」


困ったように眉を下げるルティ。

アレンは一度俯くと、彼から離れて「ごめん」と呟いた。

無理なことを言ったことを謝ったのだろう。



「……他に石があるところ…ヘレヴィア…?でも帝王が…」


部屋の中をぐるぐる歩きながら思案するアレン。

その様子にイルもマケドニスも顔を見合わせ困り果てた。


わざわざ無理矢理休みをとってまで探しに来たのに、まさかここまで見つからないとは。


みんなして考え込んで、部屋の中は重い空気に包まれる。



そんな中、不意にガチャリと音をたて扉が開いた。

四人はハッと顔を上げ、ルネは紅茶に角砂糖をバラバラ入れていた手を止める。