「あら、もう帰るのぉ?」


アレンに倣って立ち上がったルネ。

ヴァンヌは二人を見て少し寂しそうに訊ねた。

頷いたアレンはケーキごちそうさま、と一言残すと踵を返す。


「アレン」

「…?」


が、デスティンに呼び止められ再び振り返って二人と向き合った。

デスティンはヴァンヌの肩を抱き寄せながらアレンを見つめる。



「…ルシイルは元気か?」



訊ねたその声は、僅かに不安に揺れていた。

しばらく夫婦を眺めたアレンは、次の瞬間微笑しながら頷いて肯定する。


「…よく兄貴代わりと遊んでる。メディンさんのところにいるから安心してていい」

「…ウィスカの側近か」

「よかった。ありがとうアレン」


えへへと笑うヴァンヌ、安心したように目を細めるデスティン。

ルネはきょとんとして三人を見上げ、そしてアレンの微笑をまじまじと見つめた。




「じゃあ、帰るから。今日はありがとう」

「いいえー。短かったけど楽しかったわ!また来てね」

「…落ち着いたら、な」

「元気でね、お姉ちゃんデスティンさん」