これ以上探索する必要もない、そう感じたアレンは短剣はお返ししますと呆れながら言った。

するとありがとうとへにゃりと笑うその人。


用は終わったとアレンはミミズをいじるルネの元に戻る。



「…終わったの?」

「お前がけしかけたくせに…」

「初対面の人と喋れない」

「…………………。」


見た目はそれこそ天使のくせに、なんて奴。

うんざりしながらアレンはまた少女を引きずり出した。


後ろから聞こえるバイバイの叫びは無視を決め込む。



「変な人」

「…お前がな」


なんだかかなり精神的に疲れた気がする。

肩に上ってきたリィが慰めるかのように頬をなめた。

その小さな頭を撫でてやりながら、アレンは「あ」と呟く。


「? 何」

「…たぶんあそこだ」


前方を指差す勇者。

動物を探していたルネもそちらに目を向けた。


そして、こちらも「あ」と声をもらす。





「小屋…」





そこには、目立たない小さな古いそれ。


ぽつんと潜む寂れたその地に、二人は足を踏み入れた。