「な、なんだ!?今頭にとてつもない衝撃が…」

「至って健康、元気。よし、ルネ行くぞ」


キョロキョロ慌てる男性を放置し、アレンは立ち上がり歩み始める。

すると男性は大きく叫んだ。


「待って!待ってくれ!食料を恵んでください!」

「…………………。」


行き倒れか。

振り返ったアレンはまた溜め息。

そこらへんにあった木の実をやると男性はめちゃくちゃ喜んだ。

なんだコイツ。


「はあ、死ぬかと思ったよ。ありがとう君」

「はいそうですかさようなら」

「ああーっ!待って待って待って!!」


がし、と腕を掴まれてUターン。

アレンは露骨に苛つきながらその人を睨み付けた。

しかし怯むことなく男性はアレンの持つそれを見つめる。


「君!それ、どこで拾ったんだい?」

「は?」

「それだよ、その短剣!」


男性が指差すのは教皇から受け取ったそれ。

レヴィオル製の古い短剣が気になるらしく、勝手にアレンの腰から抜き取った。


「…………………。」

「これ、探してたんだ!どこで落としたんだろう。ありがとう君!」

「……、アンタの短剣?」

「そうさ!いやーよかったよかった!」