照れ隠しなのか小さく囁かれたそれに、后妃は嬉しそうに微笑んだ。

後ろでイルとルティが無言で号泣しているのを無視し、アレンは皇帝を振り返る。


「俺はこれからそこのルネと少し出ます。他三人は…」

「ああ、構わないよ。ここにいたらいい」


ユーリとダリアナ后妃を見守っていた皇帝は、こちらも微笑んで言ってくれた。

軽く礼したアレンだが、そちらを心外だとばかりに見る人間が約三人。


「なんで!あたしも行くっ!」

「俺もだ!俺も行くぞ!」

「アレン様、そんなの理不尽です!」


喚く三人、イルとルティとマケドニスは、揃ってアレンに詰め寄った。

しかし氷の如く冷たい碧に睨まれ、勢いを失う。


「大人数だと目立つ。却下」


結局その一言に言いくるめられてしまった。

マケドニスはそれならなんで連れてきたんだと何とか一人反抗するも、「命令」と短く言われそれ以上何も言えなくなる。

しかし側近の疑問に、勇者はきちんと答えてくれた。


「イルとルティは石を国に持って帰ってもらおうと思って」


呟くように言うアレン。

イルはきょとんとして首を傾げた。