ビックリした少年は慌てて青年の後ろに引っ込んだ。

后妃は表情を変えず、場に不釣り合いな子供を眺め続ける。


その様子にアレンは黙ってユーリを前に押し出した。


「わっ、わっ、アレン!」

「……ユーリ、か?」


不意にダリアナ后妃が口を開く。

いっぱいいっぱいのユーリは更に目を丸くして、その場に固まった。


何とかコクンと頷き、アレンの腕にしがみつく。


「そうか…」


目を細め呟いたダリアナ后妃。

彼女は立ち上がると、ユーリの傍まで行きそっとしゃがんだ。


少年より低い位置から、その目を見つめる。



「…確かに同じ瞳。それにこの髪…。正真正銘我が子、じゃな」

「……え、え、あの」

「ユーリ。おかえり」


それだけ言った后妃は、口をパクパクさせる少年をゆっくり抱き締めた。

バタン、と最後に中に入った皇帝が扉を閉め、その光景を見て微笑む。


「う、あの、」

「なんじゃユーリ」

「あの、その…アレンから聞いたんだけど、俺の母さん?」

「そうじゃ」

「ほんとに?ほんとのまじのガチ?」

「…ほんとのまじのガチじゃ」


ちょっと空気を読まない発言をしたユーリにも、后妃は優しく答えてやった。

それを聞いたユーリはギュッと母の服を握りしめ、言う。


「じゃ、じゃあ」

「?」



「…ただいま…母さん」